Base Account(旧: Coinbase Smart Wallet)を触ってみる

Base Account(旧: Coinbase Smart Wallet)を触ってみる

2025/08/18 公開

はじめに

先週、アカウントアブストラクションの概要についてAlchemyのSmart Walletを用いて触れました。
https://zenn.dev/barabara/articles/6871d88033a175

今回はCoinbaseにもアカウントアブストラクションを使ったウォレットがあることを知ったので、そちらについて実際に触れてみた内容をまとめます。

用語

CoinbaseのSmart Walletを調べるうちに用語がごちゃごちゃになりそうだったのでここでまとめておきます。

  • Coinbase: 米国の暗号資産企業。取引所、カストディ、決済、開発者向け Coinbase Developer Platform(CDP) などを提供している。(参照: https://www.coinbase.com/)
  • Base: Coinbaseが主導して立ち上げた EVM互換のL2(OP Stack) (参照: https://www.base.org/)
  • Base Account: ブラウザだけで使えるログイン&決済の土台。**Sign in with Base(**パスキー認証)や USDCのワンタップ決済(Base Pay)、ガススポンサー等をアプリ側に組み込める。追加のアプリや拡張のインストールは不要。 (参照: https://docs.base.org/base-account/overview/what-is-base-account)
  • Coinbase Smart Wallet: 現在はBase Accountという名称に統一されている。Coinbaseの開発者ドキュメントでも “Base Accounts, formerly known as Coinbase Smart Wallet” と明記されている (参照: https://docs.cdp.coinbase.com/server-wallets/comparing-our-wallets)
  • Base App:Coinbase Walletアプリの新ブランド名。(参照: https://blog.base.org/a-new-day-one)
  • Coinbase Onramp: DAppや自己保管ウォレットに法定通貨→暗号資産の購入フローを埋め込めるウィジェット/API。USDCのオンランプ手数料ゼロのプログラム(対象条件あり)がありますが、日本では提供対象外

実体験:OpenSeaでSign in with Base → Uniswapで共通ログイン

OpenSeaでBase Account認証(初回)

  1. Connect with OpenSea を開き、Coinbase Wallet を選択します。

  1. Ethereum and more を選択すると、Sign in with Base の画面に遷移します(keys.coinbase.com へ一時的にリダイレクト)。

  1. Create an account を押下します。
  2. Passkeyの名称を入力し、Passkeyを作成します(MacはTouch ID、iPhoneはFace ID)。

  1. Welcome to OpenSea の規約に同意し Continue を押下すると、Coinbaseの認証画面に遷移します。
  2. Sign を押下し、Touch ID/Face IDで認証します。

1分未満でアカウント作成と初回サインインまで完了しました。

OpenSeaでBase Account認証(2回目以降)

  1. Connect with OpenSeaCoinbase Wallet を選択します。
  2. Ethereum and more を選ぶと Sign into OpenSea が表示されます。
  3. Confirm を押下して認証します(セッション状況によりパスキー確認が求められる場合があります)。

UniswapでBase Account認証

  1. 接続 ボタンから Coinbase Wallet を選択し、Sign into Uniswap に遷移します。
  2. Continue を押下して認証します。

※OpenSeaでサインインした同じBase AccountがUniswapでも利用されます。ただしセッション状況により、パスキー確認や署名が入る場合があります。

Base Accountの何が良い?

  • 横断ログイン(Universal sign-in):パスキー1つで対応DAppに共通ログイン(例:OpenSea→Uniswapも同一アカウントでログインすることができる)。
  • ブラウザ完結:MetaMaskのような拡張機能/アプリ不要で初回登録〜ログインが速い。
  • ETH前提ではない:アカウントアブストラクション+Paymaster/Base PayにDAppが対応していれば、ガス肩代わりやUSDCワンタップ決済が可能

残っているデメリット

  • 資金導入: Coinbase Onrampは日本非対応。結局、CEXで購入→自分のアカウントへ送金が必要。
  • DApp側対応差:すべてのDAppがBase Accountを実装しているわけではない。パスキー直結のBase Account UIはアプリ実装依存になる。

まとめ

Base Accountの認証は、EOAのようにDApps間でアカウントの共有ができ、Web2サービスのようにパスキーで簡単に認証できるため、個人的にかなり理想的なUXだと思いました。

あとは日本でのオンランプや対応DAppが増えてくれば、Web3を始めるときの最初の壁も一気に下がるんじゃないかと期待しています。

アカウントアブストラクションの普及において、Base Accountは誰でも自然にWeb3を使える未来をぐっと近づける存在になるのではと感じました。

参照記事

Base Account(旧: Coinbase Smart Wallet)を触ってみる